スキップ 北村薫(151)

スキップ (新潮文庫)

スキップ (新潮文庫)

 昭和40年代の始め。一ノ瀬真理子は女子高二年生。九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、彼女は家の八畳間でひとり、レコードをかけて目を閉じた。
 次に目覚めたときに彼女は42歳の桜木真理子になっていた。夫がいて、17歳の娘がいた。25年の歳月を吹き飛ばされて、唖然とする真理子。見知らぬ他人との家庭生活。両親は既に他界しているし、親友の「池ちゃん」の姿は影も形も無い。「国語教師」として働くことも続けていかないといけない。
 ひとりぼっちの世界で彼女は一体どうすればいいのか。
 結局、17歳の自分に戻ることはできない。様々な困難を乗り越えて、新たなる「わたし」を受け入れて生きていく女の子の物語。
 里見はやせ……真理子が顧問をする演劇部唯一の部員。箱を使った劇を好む「箱入り娘」。新入生部活動紹介で「かえる語」オンリーのパフォーマンスをするなど、小柄な体格ながらに度胸は凄い、らしい。
 島原百合香……笑顔が魅力的な高身長の美人「ニコリ」。名前がお洒落らしい。バレー部に所属していたがごたごたがあった退部している。長く引きずっていたその問題を球技大会で解消する。