愛と幻想のファシズム(上) 村上龍(267)
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/08/03
- メディア: 文庫
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「いや、人間にもいるだろ? 本当は橇しか引けないような奴がさ、橇しか引けないくせにさ、もっと甘やかしてくれとかさ、うまいもの食わしてくれとかさ、そんな奴、多くないか?」
「ゴミ箱を漁る熊のことだ、スポイルされた熊は危険なんだ、野生をなくしてるからな、人を襲うし、だから殺してもいいんだ」
「お前は無能な百姓のためにずっと働いてきた、日本人のほとんどが無能な百姓だ、あいつらのために何かするなんてゴミ箱を漁る熊と同じだ」
この男は恐らく未熟児で生まれたに違いないと俺は思った。未熟児が生き残るのは動物園の動物か人間だけだ。
<現代の奴隷は力を持っている。彼らは徒党を組んで、要求する。奴隷であることを認めるあなた、私達「狩猟社」はあなたを攻撃するだろう。奴隷共を駆除して、強者だけの美しい世界を作りたいと考えるあなた、「狩猟社はあなたの味方だ>
「世界は日本を必要としてないからな」
「テレビのレポーターを射殺したい。
新聞記者を射殺したい。
ディスクジョッキーを射殺したい。」
すべての評論家を射殺したい。
政治家を射殺したい。
教育家を射殺したい。
労働運動家を射殺したい。
坊主を射殺したい。
世界を、養鶏場から、野生へと戻す。
俺達は、強い人間だけの、独裁を目指す」「誰でも幸福になることはできる、だが貧乏人には快楽はない、民主主義の世の中でもそれは同じなのに、今の貧乏人は幸福だけでは足らないみたいで快楽を得ようとしている」
「下がれ、
俺は鈴原冬二だ、
下がらないと殺すぞ、」「快楽とは、生き延びるのに必要なことがらをやった場合に与えられる」
「百姓と奴隷ほど楽な生き方はないんだ」
「人間は、いやなことをやっていくと、必ず病気になって、生きのびることができないようなからだの仕組みになってるんだ」
「今は最悪だ、
百姓が威張っている、
奴隷が威張っているんだ、
楽をしてきた奴らが大威張りで発言する、
百姓や奴隷には快楽が分からない、
なぜなら、あいつらにとっての快楽というのは、他人に従うことだけだからだ、他人に従う快楽だけしか知らない奴らが、威張る時代というのは、最悪だ」「五万だね、青年と呼ばれる層に常に五万は何かやる奴がいるということだ」
「俺達四人は、訓練してるからだ、特殊部隊の戦闘操典や海兵隊の野戦操典を見て、毎日、訓練してる」