螢 麻耶雄嵩(243)

螢 (幻冬舎文庫)

螢 (幻冬舎文庫)

 ファイアフライ館という、狂人のピアニストが最後に、楽団メンバーを皆殺しにした館にやってきたオカルト研究会の大学生たち。OBの所有物であるそこで、合宿をする。ジョージと呼ばれた連続殺人鬼に恋人を殺された過去。その恋人の友人だというメンバーの紅一点が自身の過去を隠して潜入捜査。突然OBが殺害される。紅一点の告白。連続殺人鬼とは複数だったのではないか。その一人がOBだったのではないか。口紅文字、女の髪の乱舞など、執拗な嫌がらせで、メンバー以外の女の存在を思い知らされる。隠し扉。隠し通路。鍾乳洞の先にあったのは、拷問の檻。狂人ピアニストと不倫女が愛を交わし、そしてジョージが女を連れ込んで調教していた場所。それはOBがジョージであったことの証。狂人ピアニストと不倫していた女の間に出来た子供が自身を暴露。自分のルーツを知るために、合宿に参加していた。更に、主人公であったはずの男がジョージの片割れということも判明。そして紅一点の女が男の振りをしていたことも判明。本当の主人公は、すべての部屋に盗聴器を仕掛けていたデブ。真犯人が男子トイレに逃げ込んだのは、松浦が女子トイレを使用するものと咄嗟に判断してしまったから。つまり、真犯人は松浦が本当は女であることを知っていた。彼もまた復讐鬼。殺意が芽生えるのは館のせい。この館自体が巨大な楽器、楽団だったのです。