初恋 トゥルゲーネフ(171)
- 作者: トゥルゲーネフ,沼野恭子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/09/07
- メディア: 文庫
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俗に「雀の夜」と言われる短い夏の夜で、稲妻はかたときも止むことはありあませんでした。
ジナイーダは手をのばし、そこらへんに生えていた草を一本むしると、ちょっと噛んで、遠くへ投げてしまい、
「私のこと、とても愛してる?」と、しばらくしてからようやく言いました。「そうでしょ?」
青春に魅力があるとしたら、その魅力の秘密は、なんでもできるというところではなく、なんでもできると思えるというところにあるのかもしれません。持てる力を、他に使いようがないまま無駄遣いしてしまう、そこにこそ青春の魅力が潜んでいるのかもしれません。