隠の王 第一話

隠の王 4 (Gファンタジーコミックス)

隠の王 4 (Gファンタジーコミックス)

 オープニングが非常に秀逸な出来栄えで、とても期待していたのです。
 キャラクターデザイン、というよりも線の描き方が好きで、とりわけ、清水雷鳴というキャラクターがいい。また背景が落ち着いた水彩風で、ある程度のリアリティを担保しながら異国風・幻想的なイメージを出していて、こういった現実と地続きの異能力者アニメには大変適していると思います。さて、清水雷鳴は記号的表現で言うならば、ところどころスポーティなアクセサリの金髪ツインテール刀使いとなってしまうのですが、そういった記号以外の雰囲気、総合的なイメージにおいてとても凛々しさを感じさせます。近年のアニメにおける女性キャラクターは性的・精神的な面で男性視聴者を意識しなければ生き残ることが出来ない構図になっていますので、非常に新鮮です。
 宵風(よいて)というキャラクターもデザイン的にはハンチングハットにブラックトレンチ+タートルネックシャツというシンプルなものなのですが(ただし、四季に関係なくこの格好をすることで異常さを出している模様)、わりとバランスがとれていて好きです。
 ストーリー・構成に関してはかなり稚拙であるといわざるを得ませんでした。森羅万象を内包し、精神的な成熟さえ得ればほぼ最強の能力者である主人公、六条壬晴。彼が(男性に対して)小悪魔的な振る舞いをしたり、「俺はすべてに無関心なんだよ」と言い捨ててみたり(この年齢では、きわめてありがちな心象風景ですね。逆に三十歳や、四十歳の中年男性がこんなことを言い出したら面白くなりそうではありませんか?)、あまり物を考えていなそうな発言を絶えず繰り返す白髪メガネや、突如保健室で煙草を吸い始める英語教師など、どうにも看過し難い部分が多い。
 どちらかと格好良いデザインを重視するアニメであって欲しいのですが、男性同士がじゃれあう関係に比重が置かれている気がします。しかし、モノクローム・ファクターあまつきに比べれば、かなりよいのでは。