ある閉ざされた雪の山荘で 東野圭吾(158)
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1996/01/11
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (129件) を見る
三重構造になっている話。候補者達を呼び出したのは実は、彼らのうちの何人かと揉めて半身不随になった元劇団員の女。この女が候補者の一人と共謀して、候補者達に殺人劇を演じていると思わせて、本当に恨み相手たちを殺してしまおうと画策する(二重構造)。
だが、人殺しを思いとどまった共謀者は恨み相手たちにこの策を話し、「殺人劇の最中に本当に死んでしまった」かのように演じて欲しいと持ちかける。実際、誰も死なない。これによって三重構造。
「神の視点」と主人公格の「独白視点(一人称)」が交互に配された文章構造になっているが、この「神の視点」は実は、半身付随女の視点である。山荘の壁に細工を施して、多くの部屋を見通せる隠し部屋をつくり、そこに潜んで、皆の様子を観察し続けていた。