スラムオンライン 桜坂洋(130)

スラムオンライン (ハヤカワ文庫 JA (800))

スラムオンライン (ハヤカワ文庫 JA (800))

 ただのネットゲーム廃人の話で特になんの面白みもない。SFというには、一般的な想像力が働く範囲内だし、話もありきたりですけど、一体なんなの? 更に鼻をつまみたくなるのが、主人公が最近よくいる厭世系の青年であること。ただ引きこもってネットゲームやってニヤニヤしてるだけの癖に終盤でいきなり悟ったようなことを言い出すから始末が悪い。お前はただ家に引きこもってただけで何も経験してないだろうが! っていう感じ。ヒロインも異常に都合が良すぎて、こいつはどうやら人間同士の物語じゃないみたい。
 何だか最近の若い男性が書いた小説には人生に対して前向きな主人公を見受けることが全くと言ってないんですけど何でなんだろう。もっと溌溂とした少年漫画の主人公みたいな人はいてもいいんじゃないですか。わたしが知らないだけでどっかにいるんでしょうか。別にこういう根暗主人公も需要はあるようなのでどうでもいいですが。ていうか、これゲーセンで対戦格闘ゲームとかやってる人は面白く読めたりするんでしょうか。わざわざ披瀝する必要もないけど、本当につまんなかったです。大学に通ってるシーン、というか現実世界のシーンは全体的にイタくて読むのが辛い。時々思い出したかのように物凄く陳腐な比喩が挿入されてるのも気になる。謎だなあ。
 更に更にどれだけ若い人が書いているのかと思ったら、70年生まれで驚愕した。30超えてこれはないだろ。
 桜坂洋という名前は聞いたことあったけど、読んだことないので期待して読んだらこんなんだからもうびっくりした。ま、久々にびっくりしたので、それだけの価値は感じられたと言うことなのかも。