アメリカの夜 阿部和重(104)

アメリカの夜 (講談社文庫)

アメリカの夜 (講談社文庫)

 特別な存在へとなりたがる唯生はわりと理解できる。自己の存在を再定義する際に、細分化を繰り返しざるを得ないのも理解できる。ただ、『――監督、はやく撮影をはじめましょう! おれの役はなんですか?』は笑ってしまった。阿部和重の終盤でのたたみかけるようなカタストロフィーが好き。