忘れないと誓ったぼくがいた 平山瑞穂（１２）

忘れないと誓ったぼくがいた

　あの「ラス・マンチャス通信」を書いた人がこんなベタな設定の純愛・青春小説を繰り出してくるとは……。一見すると、「セカチュー」＋「博士の愛した数式」とでも因数分解できそうな感じですが、少量の平山瑞穂的センスによって、どうにか単なる三文小説から脱している、かも。
　こういうのも書けるんだ！　と最初は素直にびっくりしましたが、以降もこんなようなのを出されても、出せば出すほど埋もれていくばかりだと思うので（何かラスマンで感じた緻密な描写を重ねる技術が活かせてない気がしたのですけろ。現代を舞台にするとただの冗長になってしまうっていうか）、また受賞作のよな強烈な作品を出してくれればいいなあと思いま。す。
　というかこの作品自体はふつーに感動するんですけどね。人にススメられるし、何かケチをつけたくなるようなポイントがあるわけではないですが、せっかくあんなすごいのを書いた人がわざわざ書く必要があるものとは思えないという話なだけでー。
　あと、最近のこういう小説群の男子主人公のネガティブ・パッシブさには閉口しますわ。Ｂｕｔそれがトレンドかっ。