秋の大三角 吉野万理子(1)

秋の大三角

秋の大三角

 第一回新潮エンターテイメント新人賞受賞作と言うことで読んでみたけど、これはまさにライトノベルマリみてや初期恩田陸の要素を薄めて横浜ローカル色を加えたみたいな感じになっているけど、ただそれだけ、だよなあ……。基本的に心を打つような部分がなくて、主人公の中二病的な行動心理とか(実際に主人公が中二である以上これは正しいけど)、登場人物の適当な身勝手さとか、ミステリーっぽいコード進行だったのにいきなりホラー+ファンタジーっぽい構成になってしまう辺りがどうにも好きじゃないです。エンターテイメントと銘打っているのでそれでいいのかもしれないけれど、もっと心に残るエンターテイメント小説もあると思う。